2022年度の千葉県公立高校の合格発表は、各高校のホームページで実施されました。3月7日の9時が発表だったのですが、実際にアクセスできるようになったのは、当日の13時30分以降でした。これらについては、3月11日現在、千葉県教育委員会のページにも、それらの事故が発生したことが公開されています。また、Twitterにおいても当日アクセスできない状況がコメントされています。
本現象がなぜ発生したのかを、私なりに考察してみたいと思います。
- 同時アクセス数テストが事前にされていなかった。
理由は、これに尽きると思います。今回の志願者数は、34,637人になります。当日受験高校に直接合格発表を学校に見に行く人がいるとしても、安全係数を考えると8割の受験生+両親が参照すると想定しておくと、34,637 x 0.8 x 2 = 55,419人として、同時アクセス数を5万と算出しておけば良かったと思います。
- 全ての高校のホームページが、同じドメインにぶら下がっている。
各高校のホームページは、https://cms1.chiba-c.ed.jp/ 配下に配置されています。すなわち、このcms1.chiba-c.ed.jpへのアクセスが集中したわけです。このアクセス集中している際に、pingを打ってもまったくレスポンスがありませんでした。結局は、このドメインへのアクセスが集中して、ネットワークがダウンしていたと思います。
アクセス不可の際にネットワーク状況をチェックすると以下のような状況でした。
- 最終的に教育委員会は、11時45分からネットワークからのアクセスを一旦遮断して、13時30分頃に再度アクセスできるようにしたようです。考えるに、9時丁度に各高校の担当者がホームページに合格者番号が記載されているPDFファイルすらアップロードできなかったと思います。
3月7日の11時ごろに一瞬だけ薬園台高校のホームページにアクセスできたのですが、前日の記載のままで、本来であれば、リンクが貼られて、そこから合格者番号が記載されたPDFファイルが見えるはずだったと思います。ただ、学校関係者の方もホームページへアクセスできず、PDFのアップロードができなかったのだと思います。これからわかることは、CMSなどを利用して、事前にファイルをアップロードし、指定時間になったら公開されるという仕組みを使っていないことが分かります。
(薬園台高校のホームページを調べてみると単純にApacheサーバ上に作成されており、CMSは使われていないと思われます)
- 来年度の対策としては、私見として、以下のことを考えておけば良いのではと思います。
- ホームページだけに発表するのではなく、Twitterやインスタ、Facebookなどに合格発表のPDFをアップロードする。今どきSNSがあるのですから、それを利用すれば良いわけです。この合格発表の時だけネットワーク回線やサーバを増強するのは、コストがかかる割にメリットが少ないと思います。
- 同様に合格発表を現地で見た人がそれを写真に撮って、SNSで拡散してもらう。事前にハッシュタグを決めておき、そのハッシュタグで合格発表の掲示板を撮って、どんどんアップすれば、情報が拡散するはずです。
- SNSがどうしても駄目ということでれば、事前に合格発表のPDFファイルのURLは、公開しておいて欲しいですね。
少し番外編:
ほぼ間違いなくこのドメインは、千葉県情報セキュリティクラウドを経由したアクセスが必要だと思います。この千葉県情報セキュリティクラウドの運用保守業務は、公開されているようにNTT東日本が落札しています。また、tracertにて到達できなかった211.6.89.130は、whois情報で検索するとOCN(NTTコミュニケーションが提供するインターネット接続サービス)であることも分かります。